菊地秀行「双貌鬼 魔界都市ブルース」
- 作者: 菊地秀行,末弥純
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 1996/02/01
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
魔界都市・新宿に雪がそぼ降る日、秋せつらを一人のやくざが訪れた。失踪した女を捜してほしいという依頼だったが、直後、男は何者かに殺され、せつらもまた襲撃された。やくざの遺志を実現すべく女の行方を追うせつらに襲い来る米軍特殊戦略部隊の異能戦闘集団。一人の美しい女を巡ってなぜ。やがて明かされる女の哀しいまでの淫蕩と恐るべき異能力とは…。
魔界都市ブルース長編2作目。超かっこいい主役が超かっこいい技で超非道で超強い敵を超鮮やかにやっつける、まぁいわゆるひとつのいつもの菊池せンせの作品でございました。だがこれがいい。これがいいのだ。大事なことなので二回言いました。というかこれが全てであり他にはもう何も言うことはない(おい)
というか本書の敵であるところの「米軍特殊戦略部隊」が異様なまでに山田風太郎の忍法帳シリーズに登場しそうな異形の能力者揃いであり、中盤以降は「忍法帳じゃね?」と言わンばかりの展開となりこれは読ンでてテンションあがりますよ。冷静に考えれば話は割と行き当たりばったりなのですが、まぁこの手の伝奇アクションは勢いが大事なので細かいことはどうでもよい。勢い大事。勢い大事よ。大事なことなので2(略)。最初から最後まで超かっこいい「ぼく」な秋せつらと「私」な秋せつらがたっぷり楽しめる、ファンには堪らぬ作品と言えませう。
つーか長編2作目にして既に「いつもの魔界都市ブルースやね」というこの内容はすげぇな。長編1作目の「魔王伝」は今となってはちと色々と違和感ある内容(いや面白いですけど!)なのですが、2作目にしてここまで作品世界を構築できるとは。菊池せンせはやはり只者ではない。