マイクル・コーニイ「ハローサマー、グッドバイ」

ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)

夏休暇をすごすため、政府高官の息子ドローヴは港町パラークシを訪れ、宿屋の少女ブラウンアイズと念願の再会をはたす。粘流が到来し、戦争の影がしだいに町を覆いゆくなか、愛を深める少年と少女。だが壮大な機密計画がふたりを分かつ・・・少年の忘れえぬひと夏を描いた、SF史上屈指の青春恋愛小説、待望の完全新訳版。

実は再読。（長いこと更新してなかった時期に読ンでた）


以前読ンだときにはイマイチ話に入りきれず、SF的展開だけで「おお、これは凄いなぁ」と思っていたワシでありましたが、今回再読したところ普通に青春恋愛小説としても楽しめたワシでしたとさ。何でだ。年とったからか。単に先の展開知ってるから生暖かい目でドローヴ少年を眺めることができたからか。つーか最初読ンだときはドローヴのキャラクターにえらく馴染めず苦労した覚えがあるンだよなぁ。まぁ今となっては思春期特有のアレみたいなものか、とわかっているから生暖かい目で以下略。そして昔読ンだ時には特に違和感なかったけど、今回ブラウンアイズについてちょい違和感がありました。まぁ良い子だと思うのだけど、あまりに良い子すぎてちょっと逆に違和感が生じた次第。どいつもこいつも癖のあるキャラばかりなので、この邪気の無さが異様なまでに浮いているンだよな。まぁだからこそドローヴ少年との恋愛が引き立つのかもしれぬが。


しかし本書は青春恋愛小説としてもいいのですが、やはりSFですよ。中盤で語られる世界観をベースに、ラスト近くで炸裂する大ネタ、さらに最終数ページで炸裂するどでかい大ネタとこの衝撃は半端ない。このオチが最後の余韻をうまい事出しており、ドローヴ少年とブラウンアイズについての未来をワシら読み手に想像させやがってくれます。


つーわけで大変良質のボーイ・ミーツ・ガールSF。序盤はとっつきにくい感がありますが、ワシとしては大変オススメですぜ