フランク・ティリエ「シンドロームE」(上下)



シンドロームE(上) (ハヤカワ文庫NV)

シンドロームE(上) (ハヤカワ文庫NV)



シンドロームE(下) (ハヤカワ文庫NV)

シンドロームE(下) (ハヤカワ文庫NV)


急死した収集家のコレクションに眠っていた謎の短篇映画。奇怪な描写が続くその映画を見たコレクターは、映画が終わる前に失明してしまった。映画の秘密を探るリューシー警部補。だがその行く手には、何者かが立ちはだかる。一方、五体もの死体が工事現場で発見された事件を追うシャルコ警視は、死体から脳髄と眼球が抜き取られている事実に着目するが……ふたつの事件を結ぶ糸があることを、二人はまだ知る由もなかった。



ティリエの過去作品で主役を務めた二人が一堂に会し不可解な事件を追う・・・というストーリー。ワシ、ティリエは「七匹の蛾が鳴く」しか読ンだことなかったのだけど、問題なく本書を楽しめたので過去作品まったく読ンでなくても大丈夫だと思われます。つーか前に読ンだ「七匹の蛾が鳴く」は異様に重苦しい(いや面白かったけど!)覚えがあったのだけど、本書は打って変わってエンターテインメント度合いが高まっておりびっくりしたよ。しかも展開早くてテンポよいのでぐいぐい先に進みたくなってくるぜ。


本書のキモはタイトルにもある「シンドロームEとは一体何なのか?」というものなのですが、これがまたB級好きにはたまらぬアレでして、どう控えめに言っても、その、ええと、おバカ。思わず「おいちょっと待て」とツッコミたくなるレベルでありキワモノ好きには堪らぬシロモノですよ。トンデモ理論ですよ。それを作中で超説得力ある(?)よーに仕上げているのでこれはもう納得するしかありませぬ。ワシのよーなボンクラミステリ読みはひれ伏すしかなかった。一生ついていきます。


というわけでエンタメ好きやB級好き、ならびにバカミス好きなら読ンで損はないというか得しかしない本書。超オススメですぜよ。