スティーブン・キング「1922」



1922 (文春文庫)

1922 (文春文庫)


8年前、私は息子とともに妻を殺し、古井戸に捨てた。殺すことに迷いはなかった。しかし私と息子は、これをきっかけに底なしの破滅へと落下しはじめたのだ・・・罪悪のもたらす魂の地獄!恐怖の帝王がパワフルな筆致で圧倒する荒涼たる犯罪小説「1922」と、黒いユーモア満載の「公正な取引」を収録。巨匠の最新作品集。



2本からなるキングの短篇集。原書は4篇からなる本だったとかで、他の2本は後日別に出版されるとか。分冊したのは厚くなるからなのかしらン。他の2本の長さが不明だけど、本書くらいの厚さになるならまとめて1冊で刊行しても良かったンじゃね?という気がしないでもない。(でも普通に読書を楽しむという人ならば厚すぎると敬遠されるかもしれぬのでこのくらいの長さで丁度ええのかもしれない)


表題作「1922」は長編といっても良いくらいの長さのお話。妻を殺すという犯罪を犯したことにより日常がじわじわと崩壊し狂気に侵食されていく様を描いたノワール的な内容なのですが、そこにキングらしいホラー要素が入ることで、ただでさえ暗黒なのにじめーっとした手触りがある読ンでて「うわぁ・・・」と言うしか無いシロモノでした。


もう一つの収録作「公正な取引」は短めの短編。ホラー系にはよくある「悪魔との取引」的なお話でブラックユーモア溢れる内容・・・なのですが、これがまた真っ暗も真っ暗。邪悪の中の邪悪ですよ。暗黒度では表題作以上じゃないかなこれ。中盤から主役の内面が描写されず、結果だけが淡々と描写されていく内容は薄ら寒いにも程があるぜ。でも好きだ。


というわけで大変楽しく読ンだ本でありました。ホラーというか真っ暗なお話がお好きな方にはぜひオススメしたい作品です。