小説感想 鏡明「不確定世界の探偵物語」



不確定世界の探偵物語 (創元SF文庫)

不確定世界の探偵物語 (創元SF文庫)


たった一人の富豪が所有する、この世に一台きりのタイムマシン───"ワンダーマシン"という名の装置が、世界をすっかり変えてしまった。過去に干渉することで、突然、目の前の相手が見知らぬ人間に変わり、見慣れた建物が姿を変えてしまうのだ・・・。おれは私立探偵。だが、つねに歴史が変わるこの世界で、探偵に何ができるというのだろう?ある日おれはワンダーマシンの持ち主である"神"同然の富豪ブライスから、直々に依頼を受けたのだった。奴の正体とは?"伝説の巨人"鏡明が描く、かつてない時間SF。



ハードボイルド+SFとゆー、何とも相反する要素を組み合わせて生成された本書。しかし、何とも驚くべきことにこの2種の組み合わせが奇跡的な神融合を起こしており、結果としてSFとしてもミステリ・・・つーかハードボイルド作品としても中々のクオリティを持った傑作と呼ぶしかない内容に仕上がっておりました。つーか「不確定世界」とゆー美味しい舞台設定ながらもぶっ飛んだSF的展開にせず、きっちりミステリとして成立させているのは凄いよなぁ。「不確定世界」を成立させるために、世界のルールを細部まで練りこんでいるあたりが実にステキ。この辺のテクニックはさすが、とゆー他にありませんよ。(そりゃ、細かく設定に突っ込みを入れると粗もあるだろーけどさ、ワシは読んでて特に気づかなかったので気にしない)


つーかワシ、読む前は「ガチのSFなんだろ?」と思ってたんですけど・・・。読んでみたら割とハードボイルドよりの作品だったので、ちょっと良い意味で期待を裏切られました。うむ、やはり私立探偵は洒落たセリフと美女がセットじゃないといかんよな!ベタと言わば言え。ああもうこんなの大好き!最高すぎる!


とゆーわけで、ワシとしてはかなりオススメの作品でございます。みんなも読んで、ラストシーンでグッとくるがよいよいよい。