小説感想 法月綸太郎「しらみつぶしの時計」



しらみつぶしの時計

しらみつぶしの時計


無数の時計が配置された不思議な回廊。その閉ざされた施設の中の時計はすべて、たった一つの例外もなく異なった時を刻んでいた。すなわち、一分ずつ違った、一日二四時間の時を示す一四四〇個の時計───。正確な時間を示すのは、その中のただ一つ。夜とも昼とも知れぬ異様な空間から脱出する条件は、六時間以内にその"正しい時計"を見つけ出すことだった!?神の下すがごとき命題に挑む唯一の武器は論理。奇跡の解答にはいかにして辿り着けるのか。極限まで磨かれた宝石のような謎、謎、謎!名手が放つ本格ミステリ・コレクション。



小説家・法月綸太郎が登場しないノンシリーズ作品10編を収録した短編集。内容は本格ミステリからショートショート、異色短編風味のものまで幅広く収録されております。つーかどっちかっつーと本格よりはそれ以外の色が強いかな?表題作「しらみつぶしの時計」は確かにロジックを心行くまで堪能できるけど、本格かっつーとちょっと違うし。「猫の巡礼」に到ってはにゃんこ可愛いよにゃんこ以外の感想が出てこねぇYO!


他には「使用中」が密室テーマの異色作で、これはオチで吹かざるを得ませんですた。「ダブル・プレイ」は内容と表題作の絡みっぷりがステキなド本格。あとワシ的にツボだったのは「二の悲劇」の原型作品である「トゥ・オブ・アス」かな。長編の方がクオリティは高いと思うけど、ミステリとしてのキレの良さでは短編の方が勝っている気がするにょろ。とりあえず「二の悲劇」未読の人は注意されたし。


氏のファンならば何ら問題なく楽しめる作品集だと思います。綸太郎シリーズもいいけど、こーゆーのもいいなぁ。






・・・ってそーいや「三の悲劇」は一体何時になったら出るんだ?